2022.03.08

【新企画:SPIDERPLUSと女性たち】 Vol.1 牧野電設株式会社

はじめに

スパイダープラス株式会社が開発提供する建設DXアプリ「SPIDERPLUS」は時間や手間の削減といった生産性向上をかなえるものですがそれ以外にもお客様から教えられたもう1つの効果があります。それは、現場人材の多様化です。タブレット操作に長けた若手人材が直感的に使いこなすほか、大量の紙図面にカメラに黒板に三角スケールと…といった重い荷物から開放され、タブレット1枚を持って女性が現場に進出しているというお話を伺うことが、もはや珍しくなくなりました。
SPIDERPLUSを実際に導入しているお客様にお邪魔し、現場で活躍する女性たちに光を当てていくシリーズを始めます!

“女性ならでは”でなく“その人ならでは”の働き方ができるフィールド

『女性活躍推進』この言葉が飛び交うようになって久しい現代。つい、「女性のための制度」「時短勤務導入」など目に見える対策に注目されがちではないだろうか?『女性活躍推進』
この言葉を全く違う角度からとらえ、建設業界に新しい風を吹き込んでいる牧野電設株式会社様の在り方ついて、牧野代表・社内でご活躍の皆様にお話しを伺った。

牧野電設株式会社
・代表取締役社長  牧野 長 様
・工事部施工支援  中瀬泰葉 様
・工事部施工管理  紺谷 結 様
・工事部施工管理  武山志保 様
・工事部施工管理  杉浦美鈴 様 

◆楽しめる秘訣は成長する意欲

社員の方々のお話から最も感じるもの、それは仕事を楽しんでいる様子が言葉の端々に溢れていること。仕事を楽しめる原動力は成長することへの意欲だと話す皆さん。『現場でやることを全部任せて貰える立場に遣り甲斐を感じます』

そう語るのは、施工管理を担う武山志保さん。その隣で『施工検討まで任せて貰えたら、あとはゼネコンさんと職人さんと私で現場を回せる!と言えるようになりたい』と話す、同じく施工管理を担う紺谷結さん。自身が成長し任されていくことに、『苦しさを味わうこともありますが、成長していけることが嬉しい』と話す目は輝いている。この心は若手社員まで行き渡っていて『教えて頂ける今は有難い貴重な時間!全てを吸収しようと日々頑張っています!その状況を楽しんでいきたい』と先輩方へ敬意と感謝がこもっていた入社3年目の杉浦美鈴さんの言葉にも、成長=楽しさという共通意識の中、業務に取り組まれていることが伝わってくる。

「せっかくやるならば何事も楽しくやりたい。仕事ももちろん、楽しさを見つけて専門分野で任されるようになりたい」と話すのは、施工支援を一手に引き受ける中瀬泰葉さん。楽しむことで成長している証として、周囲からは『彼女を補佐役という枠に収めておくのは勿体ない!』と言われるまでになっているという。どんな仕事でも辛いこと、壁にぶち当たることは当たり前。しかもハードな仕事という印象のある建設業界において、こんなにも笑顔で『困難も成長する通過点と思えば楽しめる』と言い切る様子に、仕事への覚悟と静かな気迫を感じた。

◆大切なことは想像力と頼ること

仕事の辛さも葛藤も、成長への楽しさに変換できる彼女たちが、仕事をする上で大切にしていることを聴くと、そこにも個性と社風を感じる回答が返ってくる。『最近、とても大切だなと感じているのは、頑張り過ぎず人を頼ることです』(紺谷さん)そこには甘えや妥協という要素は一切なく、『無理をし過ぎることで却って周囲に迷惑をかけてしまうかもしれない。得意分野の人に訊いて、いち早く解決し仕事を進めることが先決。以前聴いた先輩からの “考え込んで分からないことに時間をかけるよりも、自分にしかできないことに費やすほうがいい”という言葉を実践しています』(紺谷さん)『想像力を働かせることが大切だと感じています。この表現をしたら相手はどう思うかな、今こういう行動をすると周囲にどんな影響があるかなということを常に想像し、潤滑に進めるいくことに努めています』(武山さん)また、別の角度から想像力を働かせている方も。『辛い時でも、関わっている工事の完成形や地図に載る時の気持ちを思い浮かべ、また過去に完成した時の感動を想い出し、ワクワクしながら仕事に取組みことが大切だと思います』(中瀬さん)

常に〝自分にとっての大切”でなく、〝周囲を巻き込んで良い方向へ進めるための大切”を意識していることが、どんな現場でも働く人たちを生き生きとさせる秘訣なのかもしれない。 

◆「こんな働き方がしたいな」という答えは〝自分軸″

もっとこんな働き方をしたい、こんな風になるといいなということは?という質問にも、社員の方々の考えには一つの軸があった。『今やっている業務について、あと1歩で全て任せて貰えるようになると思っているんです。だから極めて専有部は任せて安心と言われる働き方をしたいです』(中瀬さん)『出向していても、その現場で「本当に基礎をしっかり教えて貰っているね」と褒められます。いかに先輩方に丁寧にみっちり教えて頂いていたかを感じて感謝しかない。出向先で新たに身に付けたことや教わったことを、先輩方にフィードバックしていきたいと思っています。今はいっぱいいっぱいになってしまうこともあり、周りからは大変そうと思われるかもしれないけれど、今のうちにもっとしっかりと技術と知識を学んで、1千万円稼げる女になります(笑)』(杉崎さん)

会社がこうしてくれたらいいな、周りがこんなことしてくれたらという他力本願な言葉は出てこない。自分が更に進化していくことが〝こんな風になるといいな“という答えになっている。また育成への意欲を持った素晴らしい言葉も。『新しく入ってきた人にマンツーマンで教えてみたい。成長していく姿を一番近くで見て応援していけることは、きっと嬉しさや遣り甲斐に繋がると思うんです』(武山さん)そして、自身の進化と周囲育成のハイブリットなお話も飛び出した。『全てを網羅した上で、特に「ここは紺谷に任せて」と思われるプロフェッショナルになりたい。学ぶことが多い分野があり、折角調べるならば誰よりも詳しくなって仕事に活かし、周りへ共有していきたい』(紺谷さん)この答えに反応したのは牧野社長だ。『紺ちゃん(紺谷さんの愛称)は、外部で得た知識を分かりやすく、社内に共有してくれるのが一番うまい!社内報に紺ちゃんの知恵袋というコーナーを作ってもいいね!!』とアイデアが飛び出す。座談会中に、社員の【やってみたい】を小さな形でアイデア化できる社長と社員の距離感の近さ、そして社員1人1人の個性や強みや得意分野を把握していることにも驚かされた。と同時に、だからこそ社員が『この会社で働くことが楽しい』と考える大きな理由なのだと感じる一幕だ。

◆「女性が働きやすいフィールド」ということではなく

建設業界で、女性が現場に出て仕事をする。そんなことを実現させ、多くの女性が活躍している会社がある。そう紹介頂き、実際に様々なキャリアを持つ多くの女性達が、活き活きと働いている牧野電設株式会社様。“女性が働きやすい環境作りについてお話を”という思惑は、お話を伺えば伺うほど、そこではないんだということを教えられた。それは、【女性が活き活きと働く未来はどんなものだと思うか?】という質問への回答を聞いても強く感じる。『男性なのにこれが出来て凄いね、女性なのにこんなことが出来るなんて凄いねというように、性別で凄いねというのは違うかなと思います。性別関係なく、その人個人が凄いと言われる社会になるのことが、みんな活き活き働ける未来だと思います』(武山さん)『女性が肩ひじを張って男性と同じ仕事をする必要はないかなと思います』(杉崎さん)『女性だからできないとか決めつけるのではなくて、男女でも誰とでも支え合える未来が理想ではないかなと感じます』(中瀬さん)支え合い、個人として認められることを、活躍できる未来と捉えてる回答が続く。『それぞれの人の特徴を活かせる仕事や、得意分野の仕事をというのは難しいとは思うんです。でも段々とそういう働き方ができる社会になれば、誰もが活躍できる未来になるんじゃないかなと思います』(紺谷さん)

活躍しているご本人たちは、既にこの職場が、“女性が活躍できる環境”なのではなく、“皆が・個人が活躍できるフィールド”になっていると感じているようだ。

最後に牧野社長は言う。『男性も女性も関係ないと思っているし、その考え方自体が有り得ないと思っています。世間は〝あるべき論“が多すぎて、男性だから女性だから、サラリーマンだから、営業だから・・・そんなあるべき論を個人に求めている社会が変わらないといけない。それぞれが得意な分野を活かし仕事をしていくことが大事だと思うんです』と。社長は常々「子供が熱を出したら休んでいい、独立することいいと思う」と口にしているそう。その真意は『そう言われることで気持ちが楽になる。楽になってきたら、その環境を守ろう!と前向きになってくれると思っています。そこで実力を発揮してくれれば嬉しい。皆、自分の人生を豊かにするために働いているんだから、自分本位になっていい。気持ちが楽になり人生を豊かにするために、自分優先の考えを持ちながら、この環境の運営にも力を貸してくれたらと考えています』と話しながら、社員を見つめる目は、穏やかに輝いていた。この代表の考えが根底にあるからこそ、社員は、自分自身が成長していきたいと感じ、そこから楽しさを見出すことで、更に大きな自分となり必然的に会社に活気が出てくる。そんなスパイラルが牧野電設株式会社の最大の魅力なのだと改めて感じた。

 「個が活躍できる働き方」が今後はますます広がっていくのではないだろうか。“アツイ想いを持ち続ける”という牧野電設株式会社ならでは挑戦と風土が、これからの働き方創りをリードしていくはずだ。

■取材日:令和4年1月26日
■取材場所:牧野電設株式会社本社会議室

【執筆者】
下地くにこ
一般社団法人ウーマンズキャリアプロデュース協会代表

総合商社・広告代理店にて17年間人事業務に従事後、2015年独立。

中小企業を中心とした【社外相談ルーム事業】の他
数社の社外人事を兼務。相談人数は2500名以上。
また、企業取材のファシリテーターやキャリアコンテストの審査員・講師を歴任。

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