2022.02.09

ハイクラス人材に必要な資質とはー再びともに働く二人が見据える会社と業界の課題

プロダクト戦略の統括をする川合さん、経営企画部門、管理部門の統括をする藤原さん。同じ監査法人にいたことのある二人は2021年に藤原さんが入社したことで社会性の大きな課題にともに向き合うことになりました。それぞれの来歴から組織や業界の課題、来てほしい人物像まで語ってもらいました。

藤原さんは3月で入社丸一年ですね。これまでの経歴を簡単に教えて下さい。

F:今年で36歳。大学卒業後、監査法人に入所し公認会計士としてのキャリアを築いてきました。監査法人時代は小さな企業から大きな企業まで、多種多様な企業・業種業種の会計監査を担当し、それぞれに面白さがありました。その後は、M&Aやファイナンスなどの知識・経験を身に着けたく、ファイナンシャルアドバイザーのキャリアを選択しました。前職ではスタートアップでの新規事業の開発・グロースを担当し、「ヒト」に携わる事業で社会性の大きな事業だったのですが、より大きな市場で社会性も高いところで事業を加速させることに挑戦したいと思って、スパイダープラスに入社する決断をしました。

―川合さんは建設業界経験者ですよね。同じく経歴を教えて下さい。

K:大学を卒業して銀行を10ヶ月で退職後に公認会計士の資格をとって公認会計士へ転身しました。その後監査法人で会計監査の仕事に就きます。その頃、仕事一筋というよりは、ワークライフバランスを大切にしていて、私生活を充実させていましたね。例えば大学ラクロスのヘッドコーチを5年間務めましたが、今になって思うと組織を戦略立てて前に進めることの原点にもなっていて、現在の経営をする上でも活かせることが色々あります。
30歳の時に大学の友人が経営していた当時創業70年の建設会社に入社したのが建設業との出会いでした。
在籍中の8年半で売上高40億から130億まで増え、90人だった会社は350人まで増えて日本でも有名な地方ゼネコンとなり、様々なところへ呼ばれて講演したりもしました。最後に担当した仕事は、自社の原価管理の仕組みをSaaS化し、同業他社であるゼネコンへ提供する事業でした。その中で、日本全国のゼネコン120社を自分の足で回って地方の建設業の現状を知ることができたり、現場監督や経営者がどんなことを考え、どんな人達か、を経験することができました
これらの仕事をしながら、一方で公認会計士としては、いくつかの会社で社外役員も務めていて、そうした中でスパイダープラスにも社外取締役として関わるようになり、前職の退職後、上場半年前ぐらいに常勤取締役になりました。

―川合さんと藤原さんは同じ監査法人にいたことがあったんですよね?当時から関わりは多かったのですか?

F:川合さんとは同じところにいて、共通の上司がいましたが、直接仕事で関わったことは当時なかったです。が、いつの間にか終業後に共通の上司を介して一緒に飲みに出かけたりするようになりましたね。実はその頃の川合さんは、ちょっと変わった人というか、トンがったところのある人、という印象でした。当初は怖い人だなぁと思っていたんですよ(笑)。

―今からは想像できませんね!最終的には藤原さんがスパイダープラスに入社してまた一緒に働くことになりましたが、どんな経緯があったのですか?

F:川合さんが監査法人を退職した後はSNSを通じて繋がっていましたが、SNSの投稿を見ていると建設会社に入ってから、まるで「人が変わったなぁ」と思いました。
監査法人は会計士同士が働くプロフェッショナルファームであり、どちらかといえばヴィジョナリー集団(※注:事業場の明確な構想を備えた集団)ではないです。川合さんは、もともと大学時代やラクロスのコーチを通じた経験からミッションドリブンに物事を進めることを身に着けられていたとは思うのですが、監査法人時代のイメージがあったので、ここまで人を変えてしまう事業会社や建設業って凄いと思いましたたし、社会性のあることを会計士が事業としてやっているという2つを面白いなと感じたのです。
そうした中で僕自身も事業を持つようになって事業を意識することになりました。
川合さんが既に身を投じていた取り組みを通じて、社会に役立つことが自分自身のモチベーションになることや、同様のバックグラウンドで社会性のある取り組みが出来るのならばお話を聞きたい、と思ってそこから再び個人的に関わりを持つようになりました。

K:NPO法人の経営に関わることや、ちょうどその頃、私生活でも子供を授かったことで、世の中や日本の将来に対してそれまでとは違った目線で見るきっかけを得たと思っています。社会課題の解決に自分の時間を拠出して、本気で話し合っている、というのを面白いと思ったし、そこから学ぶことも多々あったのです。藤原くんはそれを見て「変わったな」と思ったんでしょうね。

F:監査法人の世界は自分自身のスキルを試験の結果など、明確な指標で磨いていく世界。そこにいると社会性の高い事業を営むことは新鮮ですらあるんですよね。

K:本当にそうだね。その後飲みに行って初めて藤原くんに「僕もやってみたいです」と言われたときは実はそのまま受け流してしまいました(笑)。だけどその後もう1度飲みに行った時にまた「やりたいです」と言われて、本気でそう思ってくれているんだなと感じて、ぜひ入社して欲しいと思いました。

―入社して約1年間。その間を振り返って全社をどう見ている?

F:入社前から上場準備を手伝わせてもらい、入社直後に無事に上場して、今は1年近く経っています。建設業界のVertical SaaS×上場企業としても多くの関心と注目を頂いています。ただ、その間、期待に見合うだけの進化が会社としてできたかというと、正直もの足りないです。もっとチャレンジできたのではないか、と。SPIDERPLUSをご利用くださるユーザー数は順調に純増してはいますが、「働くにもっと楽しいを創造する」という当社ミッションをダイレクトに生み出せるだけのサービスやプロダクトはまだまだ創出できていないと思っています。自分たちの限界を超えて、もっと変化を楽しみながら顧客のために成果を生み出していきたく、危機感すら持っています。将来のもっと大きな成果を勝ち取るには、まずは足元が大切です。そのためには2週間や1ヶ月の遅れというのは実は致命傷になりがちなもの。そういう点で日々、1日1日のなかでもっとできることはあったのではと悔しさを抱えています。

K:確かに上場は成功した。それは大きいこと。市場も良かったし、背伸びをした上場だったと思っています。過去の人たちが作ってきてくれた土台に、本当により強い組織、より強いプロダクトに生まれ変わらなくてはいけなくて、その準備をした1年だったというか。そういう点では大きく事業が成長した、というわけではなかった。巡航速度で成長はしたけれども予測出来ていた範囲のものでしたね。
よく言えば「変化の兆しを作る」ための1年間ではあったと思います。組織の再編や人数の大幅増加、これまでにはあまりいなかった経歴や能力のある人がたくさん入ってきたので、そういう点で兆しを作ることが出来たかな。
2022年は2021年に仕込んだことや、入ってくれた新しいメンバーで新たな成長を作っていかなくてはならないと思っているのです。

―スパイダープラスの事業は、伊藤社長が当時のブルーオーシャンにうまくセンターピンを立てることができて始まったと認識しています。今できていることと、できていないことについてはどう考えていますか?

K:現状できていることは、建設現場においてタブレットを使って仕事をするというスタイルに貢献できていることだと思っています。建設業界のデジタルシフトの一部には明らかにお役立ちできているかなと思います。ただ、それは現場監督の仕事の一部であり、建設現場、建設業界の中ではごく一部です。
というのは、建設業における登場人物は、ゼネコンサブコンの現場監督だけではなく、専門工事業者の職長、職人、それ以外の人たちもたくさん働いている世界ですよね。そういう人たちへのデジタルシフト、DXという点ではまだまだ提供できていないことが多いです。スパイダープラスが領域を拡張していって後押ししていくのは、これから目指すべき未来。
建設業って改めて凄い産業なんですが、例えば建設業が悪くなることは国家が弱くなることです。
スパイダープラスの事業は建設業を通じて日本の社会をよくしていくこと。生産性を高めて、建設業の人たちがもっとよい仕事をしていくことが出来るように事業を進めています。そして建設業をより魅力的な産業にしていき、たくさんの人が業界参画できるようにすることを目指しています。
今はそうした事業の趣旨に対してプロダクトの数も足りないし、それを顧客に届け得る開発やセールスも、より強化していきたいというのが正直なところです。今の大きさの延長上に目指すことがあるのではない。建設業という市場はとてつもなく大きいので、売上としても今の10倍、100倍の世界をつくっていかなくてはいけないと考えているのです。

F:川合さんが統括しているプロダクト戦略グループの業務は、プロダクトの未来を考え続ける、ゴールのないものです。プロダクト開発のところで許される範囲で、色々な試行錯誤をしてチャレンジしてほしいです!失敗があるからこそ、それを経験に変えて成功に導いていく、という循環をつくることができれば将来のさらに大きな成果も獲得できるはず。「振り返りを行なう」ことは、将来の大きな成果のためにとても重要です。振り返ることがきちんと出来ないと、失敗を避けるような行動をする組織になってしまいます。もっと早く行動できる、チャレンジできる組織にしていきたい。

―これから事業を通じて建設業界のどんな課題に向き合っていきたですか

K:建設業の課題は色々ありますが、一番は建設業を目指す若い人たちが減っていることだと見ています。そこに一番に向き合いたいです。建設業は面白いし、素晴らしい仕事です。ただ、業界全体の傾向として、プロジェクトによっては労働環境が熾烈なものになることは我々には変えられないです。
ただし、労働時間を短くしたり、男性中心の世界に女性や外国人が入りやすくなるなどの人手を増やしたり、業務をシェアしていくことはITが得意とすることですよね。そういう点でお手伝いできるはずです。
働き方を変えて生産性を変えたり、お給料を上げたり、負担を減らして、カッコイイ産業に変えていく。既にカッコイイ産業ではあるのですが、そこにきちんと皆の目が行くようにしたい。プラス材料は既にあるので、事業を通じてマイナス材料をなくしていきたいです。
これは中長期でも同様のことが言えます。2024年に大きな法改正があり、残業規制が始まっていきますよね。それが業界全体が働き方を変えていく大きなチャンスになり、そこにサービスやプロダクトを提供していくことが我々にとってチャンスではあります。
それだけではなく、もっと先の未来を見据えて人を投入することに対してアクセルを踏み込んでいきたいです。
今年はシステムのリニューアルが大きなテーマ。SPIDERPLUSが生まれてから11年の間にお客様から受けた要望を全部取り入れたことで素晴らしいプロダクトが生まれます。それをお客様に届け、事業を成長させ、お客様が喜んでくれることで、業界も良くしていく、ということをやっていきたいと思っています。

―藤原さんが見据える単年、中長期、それぞれの目標はいかがでしょう。

F:ヒト・モノ・カネへの投資をするにあたって、成果を得るために生産性をどこまで高くできるかが鍵だと思っています。どこにいくら投資して、どう成果をあげていくかの解像度を高くしていくと言いましょうか。
2021年からは特に人的投資を拡大しています。当然、短期間ではチームでの生産性が上がりきらずとも、2年3年で高い水準にもっていけるはずです。会社を300人体制、さらにもっと大きくしていくために、一人ひとりは当然のことチーム単位で人的投資の生産性を向上させていくことはその土台であり、そのためにも物事を振り返っていくことが出来る仕組みを作っていくことが欠かせません。生産性をあげるために組織として取り組むべきことは、経営企画部門からリードできる部分が大きいです。投資した分よりも高い成果を挙げるために必要なことに徹底的にこだわっていきたいですね。

―今後会社に入ってきてほしい人は?

F:変化を楽しむ人。成果にこだわる人。リスクをとってチャレンジできる人。
その前提として会社のビジョン、ミッション、行動指針である「STAR*」に圧倒的な共感を持ってほしいです。

K:素直でいい人。ミッション・ビジョン・「STAR」に共感できることは前提。
「STAR」が求めることは、言葉は簡単ですが、今の時点で全て出来るのは結構難しいこと。その前提となるのが素直でいい人。英語だとcoachabilityが高いということ。

F:あれ、ハイクラス層の求人の話しですよね。ハイクラス層でもcoachabilityの高さは重要ってことですね。

K:そうだよ。他の人の言うことを素直に受け止めて成長できる人であることは、役職として上ならば上の立場ほど大切。「自分はハイクラス人材だ、何でも出来る」と思い込むとなかなかこういうことが出来ないです。これまで出会った人たちで、「本当に凄いなあ」と思った人たちはいずれも、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」でいられる人たちだなぁと思うんですよね。
スパイダープラスはイノベーションを起こし続けなくてはならない会社。凝り固まった考えからイノベーションは生まれません。そのためにも、素直でいい人であることはとても重要なのです。

*STARとは:Say、Target、Action、Roleplayそれぞれの頭文字からなるスパイダープラスの行動指針。相手の立場を慮った上で率直な言動をしていくことにより、「働く」にもっと ”楽しい”を創造する環境にしていくことを目指したもの。職位に関係なく適用される。

スパイダープラスでは現在マネジメント層人材を絶賛募集中。こちらからエントリーをお待ちしております!

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