建設業従事者のSDGs認知度調査 〜テーマの認知、企業の取り組み状況に見る「働きやすさ」から「働きがい」の追求へ〜

この調査レポートの趣旨について

スパイダープラスは、これまで3回に分けて、建設業従事者を対象に、2024年4月の法適用やデジタル化の取り組み、組織的な働き方改革の進み具合について調査を行ない、分析レポートを公開してまいりました。
今回のレポートでは、建設業従事者を対象にSDGsの認知、取組状況などを調査し、その結果を分析しながら「働くこと」への課題意識を明らかにしてまいります。
2024年4月の法適用を目の前に、働き方が変わっていく真っ只中の建設業において、働きやすさ、働きがいはどんなポイントにあるのでしょうか。

調査の概要

  • 調査時期:2022年11月22−24日
  • 調査対象:日本全国の建設業に従事する20代から60代男女、700名
  • 調査方法:インターネット調査

「SDGs」とは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」という意味を持ちます。
「地球上の誰一人として取り残さない」ことを誓い、国際社会全体が2030年までの達成をめざす、とされています。
SDGsは、経済・環境・社会づくり・ジェンダーなどの人的要素を含む17のゴールから構成されており、2017年からは、日本政府による「ジャパンSDGsアワード」も開始され、企業や団体の取り組みが表彰されています。

建設業と「SDGs」の関係について

建設業は建物やインフラなど、社会基盤を作る産業です。社会で生きる一人ひとりの生活の安全の基盤を作っている産業である、と言っても過言ではありません。
一方で、地域の大規模開発などでは、森林の伐採など、環境負荷を与える要素とも不可分です。
また、前述のように働き方を取り巻く問題が変わっているさなかにあるため、「働きがいも経済成長も」のテーマも無関係ではありません。
ここからは、働くことと関係の深いテーマの認知や取り組みについて調査結果を分析してまいります。

 

「自分ごと」のテーマほど高い認知〜企業規模別SDGs17ゴール認知

企業規模別にSDGsで掲げられている17ゴールの認知度について比較したところ、「すべての人に健康と福祉を」が42.3%、続いて「ジェンダー平等を実現しよう」が40.9%でした。

「産業と技術革新の基盤をつくろう」のように、仕事で目指すことに関するテーマよりも、より自分自身の問題としてとらえられる「人的テーマ」の認知が高い割合を示していることから、企業の取り組み状況や、課題意識との関わりについて、以降分析を進めてまいります。

 

企業規模を問わない「働き方」関連施策は喫緊!?〜SDGsを意識した取り組み状況〜

17のゴールを意識した取り組み状況についてお聞きした結果、「社員及びその家族の健康と福祉への配慮」「女性社員の働きやすい職場づくり」「働きがいの創出」の3つの取り組みが規模を問わず進んでいることが分かりました。

SDGsの17のゴールの中には「住み続けられるまちづくりへの取り組み」や「産業と技術革新の基盤の創出」など、建設業の仕事が目的とすることと関連の深いものも含まれます。
企業規模ごとの取り組み状況の結果は、1,000人以上のグループがそれ未満のグループよりも進んでいる傾向を見せてはいるものの、業界全体としては、まず目の前の働き方に関する取り組みが先行していることがうかがえます。

 

 

社員だけではなく家族も取り組み対象に

「社員及びその家族の健康と福祉への配慮」の取り組み状況は、1,000人以上のグループでは最大10ポイントを上回る差をつけて取り組みが進んでいます。
1,000人未満の企業どうしの割合を比較してみると、いずれも25%前後を示しています。
1,000人以上グループが比較的先行してはいるものの、全体として差は小さいものにとどまり、取り組みを模索している最中と考えられます。

 

ジェンダー施策は規模に比例

「女性社員の働きやすい環境づくり」の取り組み状況は、会社規模が大きくなるにつれて取り組みも進む傾向が見られます。
規模の大きい企業ほど、制度や施策が充実する傾向があることを背景にしたものと考えられます。

 

パーソナルなテーマながら重要な「働きがい」

「働きがい」の取り組み状況は、1,000人以上のグループが最も割合の小さい100人以上300人未満グループに最大で3倍近くの差をつけています。
企業規模が大きいと、働きやすさに関する施策を進めやすくなる傾向があり、働くことの意義について考えやすくなる状況であること、が背景にあると考えられます。

一方で、最も規模の小さなグループである100人未満、また300人〜1,000未満のグループでは取り組み状況の差が0.8ポイントと小さいものにとどまっています。
最も規模の小さな100人未満のグループが100人以上300人未満を倍近く上回っているのは、規模が小さい分、企業としての取り組みに限りが生じやすく、働きがいに関する課題意識を強くしやすいことが背景として考えられます。

取組状況の結果を踏まえ、認知や取り組みに加えたSDGsのテーマにちなんだ「課題意識」を調べることにより、建設業で働くことの課題に迫ってまいります。

 

〜大手ほど強い「働きがい」への希求〜
建設業従事者が「積極的に取り組むべき」と思うテーマ

建設業従事者に17のテーマのうち、「建設業界が積極的に取組むべきだと思うもの」を聞いたところ、回答者全体の割合が30%を上回ったのは次の3つです。

 

つづいて、各3項目について、企業規模ごとの割合を見比べてみましょう。
興味深いことは、1000人以上のグループを除くと、100人未満のグループだけが、どの項目も30%を超えていることです。

 

3つの項目それぞれにおいて、100人未満のグループは、全体割合とほぼ同じ割合を見せています。

 

過去3回にスパイダープラスが発表した調査レポートでは、デジタル推進や、取り組み浸透を目的とした情報施策などは規模が大きくなるほど「推進部門」が置かれることを背景に進みやすい傾向が見られました。
規模が小さいほど、取り組みの進み具合はスローペースになりがちなことから、各項目に対する課題意識もおしなべて強くなることが考えられます。

一方、「働きがいの創出」はすべてのグループで30%を超え、中でも1,000人以上のグループは44.7%と、他のグループに最大で10ポイント以上の差をつけています。
働き方を変えていく一方で「何のために働くのか」ということをそれぞれが実感できる業界にしていくための取り組みが必要と考えられます。

 

何のために働く、どう生きる…!?
建設業界の「働きがい創出」に向けた提言

提言

  • 「働き方の改革」の継続
  • 「働きやすさ」の向上
  • 「働きやすさ」を土台とした「働きがい」の追求

「働き方の改革」の継続

建設業では人手不足が長く課題であり、これまで行われてきた複数の調査機関によるレポートを当社が集計した結果においても、2000年に653万人いた就業者は2020年には497万人となり、20年の間で23.9%減少しています。
少子高齢化を背景とした人口そのものが、日本で減少傾向にあることも要因の1つですが、重要なポイントは人手不足は結果として起こっている現象であることです。
若手人材の確保が難しいこと、従事者の減少によって人手が不足する背景として考えられることは、働き方の改革がまだまだ足りていないことです。
そして「働き方の改革」の助けとなるのが「デジタル化」です。

1.若手人材の確保への効果

若手人材の確保は入職者を継続的に確保していくことと同義です。デジタル化をすることにより、効率的な技術の継承や、人材育成の手間の短縮、作業効率の向上がかないます。
また、効率的に仕事をする姿が広く知られることは業界イメージの向上につながり、入職ハードルを低くすることにも寄与します。

2.現在の従事者への効果

現時点での従事者は、継承できる技術や専門知識を持つ人でもあります。技術や知識を最大限活かすことができるためにも、デジタル化によって仕事の生産性を高くすることは必須です。

 

「働きやすさ」の向上

働く環境を整備することによる「働きやすさの向上」施策、働き続けることを可能にするための制度の充実が挙げられます。これらはいずれも人的要素が大きいものです。
人的要素を補完する取り組みとして、欠かせないのはジェンダーに関することです。

今回の調査でも、テーマの認知、取り組み状況、そして課題意識のいずれでも高い傾向を示したのが「女性の働きやすい環境づくり」に関することでした。
国土交通省の統計「活動実態調査」によると、建設業における女性技術者の比率は、2001年から2020年の間で1.8%から7.9%と、約4.4倍に増えています。
女性技術者が増加傾向を見せていることは、今後の業界課題解決にとって、大きな一助になると考えられます。そして、女性の働きやすい環境づくりには「働きやすさ」に関する重要なポイントがあります。

 

ライフステージの変化と働やすさ

身体上の性別を問わず、人生を通して働くことを考えた場合、「ライフステージの変化」があることは、働き続ける上で決して無視できない問題です。
とりわけ女性はライフステージの変化の影響を受けやすく、一定期間仕事から離れることを余儀なくされることが男性よりも多い傾向があります。
出産に伴う休暇のために、一時的に仕事から離れた後で、同じ職種や職場に復帰して働き続けることを可能にするための仕組みや制度が必要です。

また、育児や介護は男性にも発生するライフイベントです。若くして入職して経験を積んだ矢先に育児や家庭の維持の問題に見舞われ、長く経験を積む頃には介護の問題が発生します。
大手企業を中心に、男性の育児休暇取得率をあげる取り組みや、介護にまつわる休暇制度の制定も始まっています。

1人の人間として対峙しうるライフステージの変化と、その際にも働き続けることができる環境であることは「働きやすさ」を考える上でも、ジェンダーを問わないテーマなのです。

 

働きやすさから働きがいへ

働き方を変えていく取り組みの一方で「何のために働くのか」についても、それぞれが見つけていくことのできるような機会の創出や、情報発信による啓発、事業を通じた価値の共有など、各企業それぞれの複合的な施策が必要です。
「働きがい」は制度の制定などの外的要因とは異なり、働く人間それぞれが考えていく「パーソナルな課題」です。
こうした課題を追求するためにも、1人の人間として充実すること、働くことがそれを支えてくれることは不可欠です。
企業が様々な観点から「働きやすさ」を追求し続けることは、最終的には一人ひとりが安全に暮らしていくことにも直結します。

スパイダープラスでは「働くにもっと楽しいを創造する」をミッションに掲げ、建設DXサービスの提供を10年以上続けてまいりました。
生活の安全や社会の基盤には必ず建設業による仕事があり、建設業従事者が働きがいをもって誇り高く仕事をすることは、社会で生きる一人ひとりの安全に直結します。

こうした意義のもと、スパイダープラスでは、今後も建設業界の状況に関する発信を通じ、業界の成長と、働きやすさの追求に沿って活動を継続してまいります。

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