【『建設業における働き方改革関連法』に関するメディア向けセミナー】ダイジェスト版書き起こし

1. 開催概要

【建設業における働き方改革関連法に関するメディア向けセミナー】
ダイジェスト版書き起こし
開催日時:2022年12月13日(火) 15:00〜17:00

2. イベント内容
第一部
現役弁護士が解説!建設業における「働き方改革関連法」のポイントと対策セミナー

第二部
2024年の法適用に向けて働き方改革を実現させるための秘訣特別インタビュー

第一部:建設業における「働き方改革関連法」のポイントと対策

講師:高橋 俊輔
(SPIDERPLUS株式会社 執行役員 法務責任者 兼 海外営業部長  弁護士



まずは、建設業界の抱える課題について解説します。建設業界の抱える問題で最も言われているのは、長時間労働です。建設業界は、他の業界に比べて年間350時間長く働いているというデータがあり、これは、月30時間近く長く働いているということです。
また、人手不足も大きな課題と言われており、20年後の建設業界は約40%も働き手が減ると考えられております。

この課題に加えて、「働き方改革関連法」が建設業でも2024年に適用開始になります。
この法改正については後ほど詳しく解説しますが、簡単に言うと時間外労働時間に上限規制が設けられるというものです。
これについて、私たちが約2,700人の建設業従事者にとったアンケートでは、「この法改正についてまだ16.4%程度の認知しかない。すなわち、6人に1人しかこの法改正を知らない」ということが明らかになりました。


ここから、「働き方改革関連法」のポイントを解説していきます。

まず、「働き方改革関連法」は、大手企業に勤める若者が長時間労働等が原因で自らの命を絶ってしまったというセンセーショナルな出来事などを背景として2018年に労働基準法が改正されたことから始まりました。
すでに建設業界、運送業などの一部業界以外では大企業も中小企業も関係なく適用が開始されておりますが、建設業界など一部の業界は2024年3月31日まで適用が猶予されておりました。

なぜ、建設業界では適用が猶予されていたかと言えば、元々建設業界の長時間労働は他業界に比べて深刻であり、「急には対応できないであろう」と考えられていたことが挙げられると思います。
しかし、裏を返せば「建設業界は5年間猶予したのだからしっかり対応しなければならない」と捉えることもできます。

こちらは先ほども紹介した法改正の認知度に関する弊社の調査になります。2024年4月から適用開始になるにも関わらず、その認知度は「6人に1人しか知らない」という状態です。

では、「知らない」ということからどんな事態に陥るのかというと、「法律違反による行政・刑事手続」「労働紛争による訴訟リスク」「法令違反によるレピュテーションリスク」といったものが挙げられます。それ以外にも、法律を「知らなかった」だけでは済まされないリスクは多分に存在します。

では、今回の法改正について何が大きな変更点ですかと問われれば、時間外労働に関して、罰則付き上限が初めて導入されたということです。
すなわち、時間外労働に上限が付けられ、かかる上限を守らないのであれば刑事罰が与えられる可能性があるということになったのが大きな変更点です。
刑事罰を与えるというのは大きな意義をもち、上限を超えた時間外労働をさせることは、言うなれば「犯罪」、という位置付けになったということです。


ここで、時間外労働のポイントについて解説していきます。元々、法定労働時間は「1日8時間、1週間に40時間」と定められており、この時間を超えて働くためには使用者と労働者の間で36協定を結ぶ必要があります。その結果、「月45時間、年360時間」の時間外労働が認められ、これを、便宜上、「1段階目」の時間外労働と呼ぶことにします。

そして、更なる長時間の時間外労働も一定の条件の下で認められており、これを、便宜上、「2段階目」の時間外労働と呼ぶことにします。
「2段階目」の時間外労働が認められるためには、「使用者と労働者の合意」、「臨時的な特別の事情があること」が必要となります。そして、ここからが法改正のポイントになりますが、この2段階目の時間外労働も青天井で認められるわけではなく、4つの時間外労働の上限に関するルールを守る必要があります。

ここから、法違反をしてしまった場合どのような行政手続や刑事手続を受けるおそれがあるのか、解説していきます。
まずは、いわゆる労基署による企業幹部の呼出指導とその後の改善内容について全社的な立ち入り調査が実施されます。
二つ目に、労基署の指導にも関わらず改善が見込まれない場合やそもそも相当に悪質な事案という場合には、企業名の公表が行われることになります。企業名が公表された場合はその企業のレピュテーションは著しく毀損されてしまうことから非常に厳しい手続であると考えられます。
最後の三つ目は、書類送検、つまり刑事事件として検察庁に送致をされるということであり、刑事罰を受ける可能性がある刑事手続に入っていくということになります。

(以下、質問応答)

【メディア質問1】
建設現場でなぜ労働時間が長くなるのでしょうか?また、建設業界では業界内での横断的な取り組みはされているのでしょうか?

【回答】
基本的に建設というプロセスは「やること」が圧倒的に多い業界でありマンパワーが必要な業界であること、ITツールの導入が他の業界に比べて遅れていたということも挙げられます。
次に、業界内での横断的な取り組みについては各社様々な取り組みを行っているかと思いますが、例えば弊社のSPIDERPLUSを使って事業者間の情報共有を行うという取り組みをしている企業もございます。

【メディア質問2】
法違反により刑事罰を受けるというのは「悪質性が高いケース」に的が絞られるのではと考えております。ここで、「悪質性が高いケース」とはどのようなものがあると考えられますでしょうか?

【回答】
例えばある企業の複数の支店、事業所において残業時間が100時間を超えるようなケースや、過労死といった事案が発生してるという事情があった場合などは「悪質性が高いケース」として刑事罰の対象になる可能性が高くなると考えられます。

【メディア質問3】
罰則について、具体的にはどのような内容になることが想定されますでしょうか?

【回答】
個々の事件の具体的な事情によって様々かとは思いますが、基本的には罰金という刑事罰が多くなるのではないかと思います。なお、過去の労働基準法違反の事案では、検察庁が略式起訴という100万円以下の罰金等に相当する事件について書面審理だけによる簡易な裁判形式として処理をしようとしたところ、裁判所が認めず、正式裁判が実施されたということがありました。正式裁判となった場合には略式裁判に比して、より事件の内容等が社会に広く認知される可能性がでてきます。

【メディア質問4】
建設業界の「働き方改革法」の認知が低いとのことでしたが、逆に前倒しで働き方改革を実現しているような事例はありますでしょうか?

【回答】
一部の大手企業では前倒しで実施している事例もありますが、中小企業においてはまだ十分に対応ができていない企業が多いという状況かと思います。

【メディア質問5】
2024年に生産性の向上が実現できなかった場合、どんな事態が起こると発生すると考えられるでしょうか?

【回答】
2024年になってもなかなか対応が間に合わない企業は一定数は出てきてしまうと想定しています。
対応が間に合わなかった場合、事案によっては、説明しましたとおり、法に違反した「企業名の公表」が行われるといったことも可能性として指摘できると思います。そして、それを見た対応の間に合わなかった他の企業も含めて、法違反の状態によるリスクを認識し、時間外労働の上限を絶対に守らなければならないという意識変容をもたらし、対応を加速させるという流れになることが考えられるシナリオの1つかと思います。

第二部:2024年の法適用に向けて働き方改革を実現させるための秘訣
特別インタビュー

特別ゲスト :髙山 郷司様(以下、高山氏)
(オーク設備工業株式会社 生産統括部生産企画部グループ長)
モデレーター:鈴木雅人(以下、モデレーター)
(スパイダープラス株式会社 取締役執行役員 コーポレートブランディング室長 兼 カスタマーサクセス部長)

※オーク設備工業株式会社について
1963年創業。大林組のグループ会社として空調設備・給排水衛生設備・電気設備の設計・施工・リニューアルを主軸としている設備工事会社。
一般的なビルや病院、ホテル、商業施設や工場や研究所などの産業施設のクリーンルームといった高度な生産環境の構築を得意とする。

【モデレーター】
2018年にSPIDERPLUSを導入する際、時間削減は既に構想にありましたか?

【高山氏】
業務の効率化を主軸として導入しました。現場で業務を行う職員の繁忙度が高く、少しでも時間削減に繋がれば、という思いで導入しています。また、1年前の2017年にiPadを施工管理ツールとして導入しており、パソコンだけでなくiPadでも利用できるツールとしてSPIDERPLUSを選定しています。
導入に際し、現場で施工管理業務に従事している職員の皆様に、どのような製品であるかを伝えることが大事と考え、SPIDERPLUSに興味を持って頂き、まずはiPadとともに施工管理に利用してもらえるように努力しました。
導入時の意見として多かった声は、図面を現場に持ち出すのが容易になったことです。今までは図面を製本し、持ち出す必要があり、製本作業にも時間が取られてしまっていました。SPIDERPLUSには、設備CADの図面データをそのまま登録するだけで、iPadで閲覧できる形式に変換してくれる機能がありますので、この部分が一番高評価な機能であり、かつ時間の削減に寄与している機能であると当時考えておりました。

【モデレーター】
製本がなくなるということでペーパーレス化にも繋がっているかと思いますが、そういった経費削減の効果ももともと見込んでいたのでしょうか。

【高山氏】
弊社でiPadを導入した2017年の段階で、現場の方に「もう紙で持ち出す必要はありませんよ!」というのが、iPadを導入した際の大きな宣伝文句の一つでございました。
その段階で他のメモツールを導入しており、PDF化した資料を持ち出し、書き込みすることは可能な製品でしたが、CADソフトで図面をPDF化してから、そのメモツールに保存し、持ち出す必要がありました。
現場からの声としてはいちいち変換するのがめんどくさいと言った声が多く、「そんな手間があるのであれば、結局使わなくなるよ!」とも言われておりました。
困っている矢先、SPIDERPLUSでは設備CADデータを直接変換し、閲覧できる機能があるという説明を聞きまして、これだ!と思いました。
そのため、SPIDERPLUSの導入を決めた時から見込んでいた効果ですね。

【モデレーター】
2018年のSPIDERPLUSの導入時に法適用はどのぐらい意識していたでしょうか?

【高山氏】
導入時点では、SPIDERPLUS導入がどれだけ時間削減の効果を出せるのかが不明確でした。そのため、働き方改革関連法の法適用にSPIDERPLUSを活かせるとは考えていなかったのが本音です。

【モデレーター】
SPIDERPLUSの導入以外に働き方改革関連法の適用に対応するために実行した施策は他にございますでしょうか?

【高山氏】
作業所長面談を実施し、各現場の作業所長と本社部門や所属事業部内の各部門との定期的な面談を実施し、時間外労働の状況をお互いに確認し、注意を促しています。
また「現場事務支援グループ」という部署にて、現場での事務作業負担軽減のため、社内にいる職員が、現場に赴き、また社内にて現場事務作業を代行して行っております。
こういった現場事務支援の活動は、働き方改革関連法の適用前より取り組んでいる為、特別この法適用のために始めたことではございません。他にも試験的に実施していることがいくつかございます。
現場ごとに時間外労働が増えないよう、夕方6時以降行っていた打ち合わせを昼に実施したり、遠隔地の状況報告にオンライン会議システムを利用、スマートフォンのLiDARセンサーを利用した現調アプリの試行などを実施しています。

【メディア質問1】
大林グループの一因として、大林組から何らかの指導などはありましたでしょうか?
また、建設業界の働き方改革には推進派もいる一方で、抵抗派もいるかと思います。その抵抗派にはどのように対応していますでしょうか?

【高山氏】
親会社の大林組からの指導の有無については、私の部署にはそういった指導はありませんが、おそらく人事部など他の部署には指導があるのではと思います。
私から言えることは、大林組も働き方改革については大変力を入れており、十分な対策を実施しているだろうと考えております。
そして、働き方改革を進める上での抵抗勢力への対応については、まずは「対話による理解を促す活動」が非常に重要と考えています。
当社の職員も、本当に毎日忙しく働いているなかでは「(働き方改革は)難しい」という方もおります。
そういった方々には対話を通じて理解をしていただく活動を行っております。
私の部署では、ITツールに関するヘルプデスク業務も担っていることから、職員から問い合わせがあった際には「今はこういったツールを使うと良い」などのアドバイスを挟むようにしています。
部署は違えど、目標は同じです。実際に地道な対話を続けていくことで、理解をしてもらえるので、そういった活動は大事にしたいと考えています。

【メディア質問2】
働き方改革を前倒しで目指していくということで、今はどのくらいの段階にいるのでしょうか?
また、働き方改革への意味づけをどのように行っているのでしょうか?

【高山氏】
毎年段階を踏んで(残業時間削減)に取り組んでいます。年々目標値を高める方法で取り組んでおります。働き方改革の意味づけは、個人的な見解ではありますが、現在の若手社員は「仕事第一」というよりも「自分の人生も大事」と思っている人も多くいます。そして、将来的にはそういった考えの人が多くなってくると思いますので、「仕事第一」ではなく、「自分の人生も大事にできる」ことを実現することを目指していきたいと考えております。

【メディア質問3】
社内目標について、どういった目標をたてているのでしょう

【高山氏】
弊社では、2024年に適用しなければならない残業時間の上限時間を目標として設定しております。

【メディア質問4】
設備工事業界(サブコン業界)全体の残業の削減状況はどうなっているのでしょうか?

【高山氏】
設備サブコンと言われる業界では、弊社のような取り組みを行っている企業は珍しくありません。弊社と同様の規模の会社であれば各社取り組んでいるという印象です。

業界として(働き方改革は)大きな問題として捉えているのだろうと考えております。

【メディア質問5】
BIMの活用によって、どの程度業務改善につながっていますでしょうか?

【高山氏】
現在の取り組みでは、「現場で取得したデータをいかにBIMに取り込むか」というのが課題であると考えております。

【メディア質問6】
長時間労働の原因である人手不足に、SPIDERPLUSのようなDXツールの活用を進めることで新たに人が雇用できる、賃金改善に繋がるなどはありますでしょうか?

【高山氏】
採用活動を担当していないので何とも言えない部分もありますが、建設業界は学生など若者に魅力を感じてもらう必要があると考えております。
そのためには、昔ながらの仕事の進め方ではなく、ITツールを活用した仕事を行っているというようなことが若者へのPRになると考えております。
なので、私が学生に対して部署紹介をする際はITツールの活用を行っていることをアピールするようにしております。
賃上げに結びつけることはなかなか難しいのではないかと考えています。
それよりも、ITツールにより効率化された、「大変だけれども、やりがいのある仕事」と認識してもらうことが大事なのではと考えております。

【メディア質問7】
先行して働き方改革に取り組んでいる貴社として、これから働き方改革に取り組む企業へのアドバイスがあればお教えいただけますでしょうか?

【高山氏】
施工管理を主体とする会社と、工事を主体とする会社で違うかと思いますが、建設業界の「残業は当たり前」というマインドを変えて、ワークライフバランスの重要性を理解してもらうことが重要なのではないかと考えています。

そして、SPIDERPLUSのような新しいツールにもどんどんチャレンジしていくことが重要になってくると思います。

【メディア質問8】
建設業界での女性活躍の変化について教えていただけますでしょうか?

【高山氏】
ひと昔前までは、女性の施工管理要員は多くて1人か2人くらいでしたが、ここ最近は、毎年数名の入社がある状況です。
また、女性の現場監督も意識した現場事務所環境を整備するようになったりと、今後女性現場監督が増えていく環境というのはできてきているのではないかと考えております。

以上

【本資料の取り扱いについて】
本資料には、将来の見通しに関する記述が含まれています。これらの将来の見通しに関する記述は、本資料の日付時点の情報に基づいて作成されています。これらの記述は、将来の結果や業績を保証するものではありません。このような将来予想に関する記述には、既知および未知のリスクや不確実性が含まれており、その結果、将来の実際の業績や財務状況は、将来予想に関する記述によって明示的または黙示的に示された将来の業績や結果の予測とは大きく異なる可能性があります。

これらの記述に記載された結果と大きく異なる可能性のある要因には、国内および国際的な経済状況の変化や、当社が事業を展開する業界の動向などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。

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