【顧客レポート】新菱冷熱工業の取り組み〜現場起点の自社開発から包括的なDX推進へ
先日公開した調査分析レポートでは、組織規模が大きいほど、働き方改革の推進部門が置かれやすい傾向があり、規模や予算の大きな組織ほど労働時間削減を目的とした施策の種類が広がりやすく、組織的なものも進みやすくなる傾向があると発表いたしました。
SPIDERPLUSを実際にご利用のお客様の実態は、いかがでしょう。
10年以上前からDX導入に積極的に取り組んでいる新菱冷熱工業株式会社にお邪魔して、時代の流れや、その時々の現場状況に合わせたDXを進めるため、3年ごとに見直されているプロジェクトがどのように進化してきたかを見ていきます。
お話:新菱冷熱工業株式会社
齋藤佳洋 様(技術統括本部 専任部長、写真向かって左側)、齊藤恒英様(同部門 主査、向かって右側)
◆お二人の役割について
中期経営計画3カ年の中で、生産改革プロジェクトがあり、現場の省力化や効率化を目指すことが現在の目標です。3年ごとに取り組みはブラッシュアップされ、今は3年目の最終段階にあるとのこと。齊藤主査は以前のプロジェクトにも携わっていたとのことで、全社的な業務改革の推進はこれが6年目だそうです。
◆特定の課題解決から包括的なDXへ
新菱冷熱工業のデジタル導入の歴史は古く、はじめは目の前の課題解決のためにツールを自作していたとのことです。
現場作業の特定の課題を解決するための技術活用・ツール導入だったのが、汎用性の高いもので自社以外にも電気・衛生・建築と包括的に現場で情報共有をすることで包括的な省力化を目指すようになっていき、そこから他社が作ったものを柔軟に取り入れる方針に同社のDX活用も方針が変わっていったとのことです。
◆業界全体のDX推進の背景にあるものは
また、全社的なDX推進についても、やはり難しさは常にあるとのことで、それもまた、現場というものの性質を背景としたものだ、と語ります。
「現場には納期というタイムリミットがあり、コストにも限りがあります。限られた条件下で実プロジェクトを動かしていく間にツール導入などのDX推進を行なっていく必要がありますが、実際稼働している現場をテストの場にすることで失敗するわけにはいきません。」
こうした状況を踏まえながら、プロジェクトチームでは情報収集や、シミュレーションを行ない、現場をラクにするための選定や支援を行なうのだそうです。
◆DX推進しても変わらないこと
DX、デジタル・トランスフォーメーションとは、デジタルの力で業務のやり方を根本的に変えることを指します。建設業ではツール導入によって現場での変革が様々生まれていますが、一方で変わらないこともあります。「技術の本質理解にもとづく判断は変わらない、コアと言えるものだと思います。」と齋藤部長は語ります。
判断をするための材料(画像など)をデジタルで効率よく集めることは出来るし、そういうところは置き換えが進み、そうした取り組みもまた現場の省人化と、コストの最適化に繋がるのではないか、と見なしているそうです。
◆終わりに:生産改革は終わりのないテーマ
現在は2024年4月の改正労働基準法適用が大きなきっかけにはなっているものの、法適用後も業務を改革していくこと自体は続くと思う、とお二方とも口を揃えてお話します。
プロジェクトの取り組みによって、社員それぞれの意識が向上し、まずはみんなで使ってみよう、というきっかけをつくり、それを会社全体の取り組みに育てていく。社内では業務の効率化とワークフローや制度の改善について、DX推進という手段のもと全社的に取り組んでいる、とのことです。
プロジェクトチームは困りごとの際の相談窓口という役割も負っています。時間削減がなされることや、就業環境が良くなっていくことは、業界参入者を多様にし、増やしていくことにも繋げられるため、継続的に取り組むことが、会社全体だけではなく建設業界自体をよくしていくことになるのではないか、と新菱冷熱工業の目指す未来について伺いました。
◆建築・土木・設備業を対象にした調査シリーズ
・「人の手」から「デジタル活用」へ〜建設業の労働時間削減のポイントは?
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